産業廃棄物セミナー 〜 排出事業者に求められる現地確認の手法とそのレベル
- 2019.03.12
- 原価管理部(外部公開)
産業廃棄物管理者における廃棄物の適正な処理の確認義務について解説します。
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廃棄物処理法3つの基礎要素
【排出者】①排出者責任を追及される存在
②排出者が自分の廃棄物を扱うときは許可不要
【業許可】原則、廃棄物の区分ごと
【廃棄物の区分】
事業者(排出者)の責任
1.処理基準を守ること
2.処理責任者を置くこと
3.帳簿を備えること
4.処理計画を策定しそれを報告すること
5.委託基準を守ること
6.マニフェストを正しく使用しなければならないこと
7.委託処理状況の確認
委託基準をまもることとは…
産業廃棄物処理法第12条
5.事業者はその産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、産業廃棄物収集運搬業者、その処分については産業廃棄物処分業者にそれぞれ委託しなければならない。
7.事業者は当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、発生から処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるよう必要な措置を講ずるように努めなければならない。
委託基準を守ること【事例】
事例】利根川取水停止
廃棄物に含まれていた「ヘキサメチレンテトラミン」が処理不十分で河川に放流され、浄水場で塩素と反応し「ホルムアルデヒド」が生成された。
このことにより利根川水系の複数の浄水場の取水停止となり断水が発生した。これにより高崎金属工業は産業廃棄物処理業者に委託する場合、適正な処理の確保につき指導の徹底に努めるよう環境省より指導があった。
知らなかったでは済まされない事例である。(H24.9
委託処理状況の確認とは…
【現地確認の推奨】 POINT➡ それには基礎知識が必要である。
①処理施設の法的位置付け
②どのような種類があるのか
③廃棄物とは
④どのような義務、規制があるのか
チェックポイントは?
まずは立入検査票を用意しましょう。
許可の種類や許可番号を記録して、内容に沿って適正かどうかチェックします。(環境省 立入検査票で検索!)
廃棄物処理法第19条に規定されていますので、従わない場合は罰則規定もあります。
事例 (Co Co壱番屋 廃棄カツ事件)
【事例】「CoCo壱番屋廃棄カツ事件」
愛知県内のCoCo壱番屋の工場でパン粉を混ぜるプラスチックの棒が8㎜ほど損傷し食品に混入したと思われたため、ビーフカツ40, 609枚を廃棄物としてダイコー(H28.3倒産)に委託。約3万枚を「みのりフーズ」に売却し、市場に出回った。津島市内のスーパー「Aマート アブヤス」でCoCo壱番屋のビーフカツと表示して5枚1パックで販売されている事をCoCo壱番屋のパート社員が発見し、事件が発覚した
排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト 1
排出者としてのチェックリストも作成しましょう。
POINT➡産業廃棄物と一般廃棄物に分別しているか?
排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト 2
廃棄物引き渡し後のチェックリストも作成しましょう。
(全産連ホームページで拾えます。下記リンク)
全産連ホームページ
処理施設の法的位置付け
処理施設は許可が必要なものと、不要なものがあります。
設置許可
処理施設の大きさ、能力を問わず許可が必要なものと、大きさ、能力によっては許可が必要なものがあります。
処理施設の種類(大きさ、能力)
主に関係が深いのは「廃プラ焼却施設」「その他の焼却施設」「廃プラ、木くず、がれき類の破砕施設」で、能力を確認できれば設置許可の必要性が解ります。(ほとんどが設置許可が必要です。)
設置許可不要
①対象の産業廃棄物の種類(動植物性残渣の乾燥施設、ガラスくずの破砕施 設)
②処理の種類
③規模・能力 が該当しなければ設置許可は不要になります。
販売業や旅館業などから出る動植物性残渣(食品ごみなど)は事業系一般ごみとなりますので対象の産業廃棄物ではありません。
1.対象の産業廃棄物の種類とは
処理施設において許可不要は動物性残渣の乾燥施設、ガラスくずの破砕施設等となり、殆どの処理施設は許可が必要となります。
2.処理の種類とは
処理の種類は廃棄物により焼却、脱水、中和、破砕、という中間処理があり、最終処分として埋立、海洋投入があります。
委託契約許可証の確認
処理の種類の理解をもって産業廃棄物処分業許可証を確認しましょう。
POINT➡ エリア、事業の範囲(※処理の種類)、廃棄物の種類、許可の更新状況をチェックします。
最終処分場の埋立対象物
最終処分場で埋立て処分する場合、対象物によって最終処分場の種類も変わってきます。
遮断型は燃え殻、汚泥、鉱さい、ばいじん(判定基準以上)のもの。
(全国30カ所、北海道に15カ所)
管理型は遮水シートを敷き水の処理施設で水を浄化させます。紙、木、繊維くず、動植物性残渣、動物の糞尿、死体、石膏ボードなど。
安定型はいわゆる埋立で安くつきます。廃プラスティック、ゴムくず、金属くず、ガラス、陶磁器くず、がれき類
焼却施設のチェックポイント
焼却施設にもチェックポイントがあります。
①温度管理
②冷却管理
③排ガス管理
④集塵機
・・・・など記録装置、温度計などでチェック
そもそも廃棄物とは・・・
行政指針では「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要になったもの」・・・とあります。
以下の事から総合的に判断します。
①物の性状(環境保全、客観基準、品質管理)
②排出の状況(需要、計画、管理)
③通常の取り扱い形態(市場の形成)
④取引価値の有無(有償譲渡、経済合理性)
⑤占有者の意思(社会通念上の認定)
①物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭等生活環境保全上の支障が発生するおそれがないものであること。
実際の判断に当たっては、生活環境保全に係る関連基準を満足すること。
②排出状況、③取扱形態
②排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な管理がなされていること
③製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと
④取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断にあたっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。
⑤占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他者に有償譲渡する意思が認められること、または放置若しくは処分の意思が認められないこと。
脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断される。
チェックポイント
POINT➡ ①他人に有償譲渡ができるか
②売れているか(需要があるか)
③最終処分場の確認、または市場なのか確認
④有害性はないか
義務と規制
【義務と規制】
①最大保管量は処理能力の14日分(不適正処理は保管から始まる)
②掲示板の表記とおりか
③当該保管場所以外の保管場所はないか
④保管量以外の保管状況は(腐敗、悪臭、飛散、流出、地下浸透)